「か、返して…!」
「悔しかったらここまで来いよ」


小学校の時はよく、男の子たちに意地悪されていた。
消しゴムを盗まれたり筆箱を隠されたり。

頭をボサボサにされた挙句、お気に入りだった水玉のシュシュすら盗まれたこともあった。



「どうしてそんなことするの?」


いつも半泣きになりながら、よくそう聞いていたのを今でも覚えている。


「見て、また意地悪されて喜んでる」
「いいよね。かわいかったらすぐ気に入られて」



辛くて辛くてたまらなかったというのに。
泣いていた日のほうが多かったというのに。

女の子たちからはいつも嫉妬で除け者にされる。



「ば、バカか!
こんなブスなんて好きになるわけないからな!」



かわいくないなんて、言われなくても知っているけれど。

そんな顔を真っ赤にしながら、必死に悪口を言う必要もないだろうとよく思っていた。