ゆっくり眠れるはずない!

何回か部屋を抜け出そうとしたけど、そのたびにヤツが寝返りを打って危機感を煽る。
ベットと扉の行き来を繰り返しては、なかなか部屋の外に出ることが出来なかった。

ようやく廊下に出られた頃には、すでに太陽が昇り始めていた。
だけどまだわからない。
隙を見て屋敷の外に出られるかもしれない。

「あら。何してるの?」

アクシデント発生!
ほうきを持って廊下を掃除している使用人らしき女性に見つかってしまった。

「えーっと…」

「良かったー。やっと新しい人来たんだ。
もう、人手が足りなくて困ってるの。
ここ最近どんどん人が辞めて行ってるのよねー。
まずは一緒に廊下の掃除から始めましょう。こっちよ」

「え?え?」

いきなり腕を引っ張られる。
目まぐるしい展開にちょっとついていけない。