「カイトレンデス殿下からネタは上がってるのですよ?神妙になさい」

私が先輩の拘束を振りほどき、仁王立ちで先輩を睨むと先輩は目を逸らせた。

「まあ…今はいいでしょう。先に朝食を頂いてしまいましょう」

ジーク先輩はギクシャクしながら朝食を食べていた。

私は作ったお弁当を持って、まだギクシャクしているジーク先輩と職場に出勤した。

「ああぅ!一緒に出勤してる!いいなっいいな~新婚さんだ!」

私達が事務所に一緒に入った途端、パルン君が絡んできたが、一切無視をして一直線にカイトレンデス殿下に会いに執務室の扉をノックした。

「カイト殿下、失礼致します」

「入っていいよ」

私が執務室に入るとジーク先輩も一緒に入ってきた。あら?一緒に聞くのですか?

「おはようございます、カイト殿下。早速ですが先日より事務のクラナさんより苦情が出ておりました、事務所横の物置の調査を本日行いたいと思います」

カイト殿下はちょっと目を鋭くした。実はこの件はブーエン王国に行く前にカイト殿下にご相談していたのだ。

「確か異臭がすると、クラナ嬢が言っていた件だな?」

「はい、パルン君は良く分からないとのことでしたが、私も物置に入りまして確認しました所、確かに何かが腐っているような…敢えて言うなら汚れたまま置いておかれた靴下のような臭いがしておりました」

私の後ろの執務室の控えの間にいるヤツが咳払いをしている。

カイト殿下はニヤリと笑った。

「あの情報は役に立ったか?」

「大変に有益な情報でございました。それにつきましては午後から半休を頂きまして本格的な調査に赴きたいと思います」

「根元から根絶せよ」

「御意」

よし…殿下から許可も頂いたので執務室を出ると、事務所に戻り保冷箱に作ってきたお弁当を入れてから、出勤してきたクラナちゃんに声をかけた。

「おはよう、クラナちゃん。殿下の許可を頂いたから今から物置の立ち入り調査開始致します」

クラナちゃんは顔を引きつらせた。

「や、やりますか…大丈夫ですか?」

クラナちゃんに頷いて見せてから、私は一旦事務所から出て廊下の奥の扉をめざした。

廊下の突き当たりに物置にしている部屋がある。私の後ろにはクラナちゃんとパルン君もついて来ている。

私は意を決して扉を開けた。

「うぐっ…」

「くさっ…」

「そんなに臭うかな…」

「パルンさんは鼻が悪いんですよ!」

クラナちゃんがパルン君に噛みついている。

私はこの日の為に城の庭園の管理をしている園芸課の職員から借りてきた、園芸用の厚手手袋を装着した。

用意は万全だ。

ソレを直接触りたくなくての重装備だ。魔法を使えばいいだろう!と、言われたけれど視覚的な防御が欲しい。素手で触っているという感覚から逃れたい。

「先輩、これも借りてきました」

そう言ってクラナちゃんは細長いものを差し出してきた。

園芸用の鉄製のトングだった!これで更にソレに直接触らないで済む。

「クラナちゃん助かるわ!」

私は右手に鉄製のトングという武器?を携えて物置に乗り込んだ。

物置の中は少し暗かった。

壁の照明スイッチの魔石に手を触れた。物置内が明るく照らされる。

古い書類、備品のストック…ゆっくりと棚の奥を覗き込んだ。物置部屋の棚の奥に…ソレが山盛りになって異臭を放っていた。

「やだぁ…窓、窓開けます!おえぇ…」

クラナちゃんは口元をハンカチで押さえ、文句を言いながらも窓を開けてくれた。

外からの風が入ってきて室内の異臭は若干マシになった、あくまで若干である。

私はトングを構えるとソレの山の一番上を摘まみ上げた。手が震える。

「で、でたー!」

「び、びっくりさせないでよ!パルン君!」

「変な叫びをしないで下さい!」

私とクラナちゃんは仰天してパルン君を顧みた。

するとパルン君の後ろには、ジークレイ先輩が立っていた。

「それ…俺のだから…」

ジーク先輩、声小っさ!

「はあ?何ですって?」

クラナちゃんは容赦なく聞き返した。

「その服…俺のだから」

私は真顔になった。クラナちゃんも同じような顔をしている。

「これはゴミの山ね」

「そうですね、捨てましょうか」

「止めてくれぇ!」

物置にジーク先輩の悲鳴が響いた。

ジーク先輩を取り囲む私達。現行犯を確保…した気分だ。犯人…ジーク先輩は大人しかった。

「一度着た服ってどうすればいいのか分からなかったんだ…」

「一度も二度、お洗濯すればいいでしょう?」

クラナちゃんがジーク先輩を見て怪訝な顔をしている。

ジーク先輩は目をさ迷わせた。

「洗濯ってどうするんだ?」

「ふぁ!?」

私、クラナちゃん、パルン君の声が重なった。

そうだった…

ジークレイ先輩は究極のお坊っちゃまだった。何て言ったって血筋的には、カイトレンデス殿下の又従兄弟…侯爵家の次男。

「服はクローゼットにいつも準備されてたし、汚れたらその辺に置いておけば失くなってたし…それはメイドが片付けくれているのは知ってるけど…洗濯って何が必要なんだ」

思わずクラナちゃんと見詰めあった。

「メイドの方にやり方聞けばいいんじゃないでしょうか?」

パルン君がそう言うとジーク先輩は眉間に皺を寄せた。

「聞いた…んだけど教えるのを誰がする?とかメイド同士で揉めだしたので…聞くのは諦めた」

「そんな状態でよく一人暮らししようなんて思いましたね…」

思わず呟いた。するとクラナちゃんが、そうだ!と手を打った!

「そんな心配も今日でさよならですね!何て言っても奥様がいますし、やり方教わりながら二人でイチャイチャしながら家事を出来ますよ!」

げえぇ…何を言うかと思えば…

クラナちゃんの余計なひと言を聞いていた犯人…じゃなかったジーク先輩はパアァ…とご尊顔を輝かせると私に抱き付こうとしてきたのでヒラリとかわした。

ジーク先輩はたたらを踏んで、自分の汚れ物にブーツの先が引っかかり…自らの異臭の元へダイブしていた。

ボフン…異臭の元から風が巻き起こり、ものすごい汗臭…おじさんのかほりが物置に充満した。

「おええぇ…うっぷ。げはぁぁ…うぐぅ」

クラナちゃん大丈夫かな…

私はダイブしてまだ、もたつきながら起き上ろうとしているジーク先輩ごと消臭魔法をかけた。

「あ~ぁ匂いが消えた!先輩そんなすごい魔法使えるなら早く使って下さいよ!」

「ごめんごめん、臭いの元をしっかり確認しておきたかったからね」

ぷりっと怒ったクラナちゃんに謝りつつ…浄化魔法も使った。

「良かった!これで安心して物置に入れますよ!」

さっきからクラナちゃんのジーク先輩下げの発言がすごいね。何かあったの?

「クラナちゃん今日は一段とジーク先輩への当たりが強いわね…」

クラナちゃんはジロッとジーク先輩を見た後に大きな溜め息をついた。

「カイト殿下に聞いたんですよ〜ミルフィ先輩に膝をついてプロポーズしたって!やるなぁジーク先輩!とか思ってたのに…これですよ?これっ!私の夢を壊さないで下さいよぉ!」

「クラナちゃんの夢…?」

「膝をついてプロポーズなんて女子全員の憧れですよ!見た目だけはジーク先輩は絵物語の王子様みたいですからね、あぁでも…現実は…はぁ…」

先輩、膝なんかついてたっけ?覚えてないわ…

クラナちゃんの夢を砕いた男、ジーク先輩を手招きするとジーク先輩は慌てて立ち上がった。

「今ここにある衣服を畳む練習をしましょう。クラナちゃん、パルン君。ここは私達で片付けるから、それとカイト殿下にここの片づけが終わったらジーク先輩を連れて大元を叩きに行くから…早退しますと伝えてね」

「大元を叩く?」

私はクラナちゃんに頷いてみせた。

「この物置でこの有り様よ?大元…一人暮らしをしている独身寮の部屋…ヤバいと思わない?」

「ま、まさか…!」

「カイト殿下に情報を頂いたのよ。寮監の方がジーク先輩の部屋から異臭がするから一度調べさせて欲しいって…犯罪絡みなんじゃないかって…疑われているんですって」

「やだーっ!汚部屋の次は腐乱死体が出て来るんですか!?」

「馬鹿な事言うなよ!そんなものは無い!いてもネズミやゴキ…」

ジーク先輩が女子が大嫌いな害獣?の名前を言いかけた。

「いやああ!」

今度はクラナちゃんの悲鳴が物置に響いた。

ちょっとデリカシー無いわよ?レディの前で小さいけど害獣の名前を挙げるなんて…

プリプリ怒ってクラナちゃん達は物置を出て行った。

私達は服の山からシャツやパンツ、まあ先輩の嫁になった以上触るけど下着類を畳んでいった。

「でも、変ですね。ジーク先輩って浄化魔法は使えますよね?どうして汚れた洗濯物を浄化しないで放置していたのですか?」

ジーク先輩は神妙な顔をしていた。

「最初は一着ずつ浄化していたんだ。だけど…今みたいに服の畳み方も知らないし…浄化した服をクローゼットのどこに置いたらいいか分からなかった…その辺に置いてたら汚れ物と一緒になって…」

あ~これは根本的に何も知らないのよね。そりゃそうか…教えを乞おうにもメイドに色目?を使われるし、寮の1人部屋に押しかけられても困るしね。

よしっこれは私がジーク先輩に指南してあげなくちゃよね!

「任せて、先輩!私がみっちり教えてあげますからね」

私が胸をドンと叩きながら言うとジーク先輩はふにゃと笑った。

美形の笑顔は目が潰れそうな眩しさだわ。

「目が痛い…」

「?…浄化と消臭魔法で臭いは消えてるけど?」

そっちじゃない!

私はジーク先輩を睨みながら腰のウエストポーチから手のひらサイズの巾着袋を取り出すとソッと魔力を籠めた。そして畳み終えた衣類を巾着袋の中に放り込んだ。

魔力を籠めたこの巾着袋は無尽蔵にモノを詰め込める魔道具なのだ。

「え?何それ?どういう仕組み?」

ジーク先輩はその巾着袋に食いついた。

「ふふ〜んいいでしょ?これうちのマリマル洋装店で売り出す予定の魔道具です」

マリマル洋装店とは、うちの実家の公爵家が趣味で始めた服屋だ。

初めは大人しく普通の服を作っていたのだが糸に魔力を練り込んで縫っていくと魔術式紙がなくても服にも魔術をかけると、服全体に式紙と同じような定着系魔術がかかることが分かり…

姿が消せるマントとか、空が飛べるマントとか、羽織るだけでシリーズを作り、それがばかうけして、今うちの実家は洋装店の売上で好景気真っ盛りなのだ。

「その巾着俺も欲しい!」

「今度作ってあげますよ」

旦那様だしね、お安く提供致しますよ。え?勿論、材料費はしっかり頂きますからね!

さて…王宮の正門前から少し歩いた閑静な住宅街の一角に、軍の独身寮がある。

私とジーク先輩が一緒に現れると寮監と非番なのか寮内にいた男性達が一様にギョッとした顔で私達を見た。

「今日はカイトレンデス殿下の指示の元、ジークレイ=ホイッスガンデ少佐の退寮の手続きと異臭の原因の立ち入り調査に参りました」

寮監のおじ様はポカンとした後ジークレイ先輩に

「こちら、奥さんだよね?」

と聞いていた。ジーク先輩は嬉しそうな顔で何度も頷いている。浮かれていられるのも今の内だけだ!

私達は寮監さんと一緒にジーク先輩の部屋に行った。

「ちょっと…臭いますね」

「あの少佐、失礼を承知でお伺いしますが…本当に室内で…その…」

寮監さんは言い淀んでいるが私がはっきり申し上げましょうか。

「旦那様?別れ話が拗れた愛人を…ドスッ…なんてことはないですよね?」

殊更嫌みっぽく、旦那様の言葉を強めに発音しながら言ってあげた。

「ひぅ…!」

寮監さんが小さく悲鳴をあげている。

ジーク先輩は何かを小声で呟いた後、真っ青になって

「違う、違うぞっ!あれは多分ゴミが腐っている臭いだ!そんな女は断じていない!」

ゴミガクサッテイルニオイ…

言葉の後半部分はまるっと無視して、前半部分を聞いた私と寮監さんは、ジーク先輩を睨み付けた。

「ゴミですか…」

「呆れたわ…」

私は寮監さんに向き直った。

「うちの旦那がすみません。私が責任を持って退寮までに処分致しますので…」

「うちの旦那…!」

ジーク先輩はさっきから何をぶつぶつ呟いているんだろうか…

「さ、先輩。開けて下さい」

先輩が部屋の鍵穴に鍵を差し入れた。そしてゆっくりと扉が開かれた!

グワシャァァァ………

扉を開けた瞬間、眼前に何かが崩れ落ちてきた。風圧で私の頭の上にフワッと何か布が落ちてきた。

「生臭い…これ何?」

「あわわわわっ‼」

ものすごい勢いでジーク先輩が私の頭に乗ったソレを引っ手繰った。チラリと見えたソレは…最悪だ、下着のようだ。流石に旦那でも頭に被るのは勘弁して欲しい。

私は自身の体に浄化魔法をかけ、部屋全体には浄化魔法と更に消臭魔法をかけた。

「い、異臭の原因は…うえっ、ごみの臭いということでしょうか?」

寮監さんも吐きそうにしているわね。私は大きく頷いた。

「ご迷惑おかけしてすみません、すぐに片付けますので」

私は部屋に消音と消臭魔法をかけてから、ジーク先輩に先ほども使っていた園芸課から借用の手袋を渡した。

「まず、いるものと捨てるものに別けてください。すみません、ゴミを捨てる袋ありますか?」

寮監さんにそう聞くと、寮監さんは走ってすぐにゴミ袋を持って来てくれた。

「さあ、先輩やりますよ!」

ジーク先輩はゴミを捨てるのも一苦労だった。

「これって洗えるの?」

とか

「これって捨てれるの?」

とか…一回一回聞くのよ、いやびっくりよ。だけどね、流石は先輩なのよね。すぐにゴミとまた使えるものの仕分けを覚えて凄いスピードで片付けていく。

「やれば出来るんですよね…」

「ん?何?」

「片付けですよ。そもそもどうして一人暮らししようと思ったのですか?」

ジーク先輩はちょっと照れたような顔をして私を見た。

「前さ〜酔っ払ったミルフィーナを家まで送ったことあっただろ?その時家の中見てさ〜」

やっぱり前に家の中に入ってたんだ!

ジーク先輩は私の睨みに気付かず話を進めた。

「ミルフィーナの生活感が溢れた…こう何て言うのかな、一人でやってます!みたいな自信に溢れた家に見えて眩しかったんだ」

それはお一人様で生きて行く気満々なのが、家の内装にも滲み出てたってことかな?

「格好いいなと思った。勝手にミルフィーナは俺と同じで親の庇護下で気ままに独身を楽しんでると思ってた。焦った…ミルフィーナに置いて行かれた気がして、慌てて真似して、家を出て独身寮に入寮して…ゴメン」

「どうして謝るのですか?」

ジーク先輩はゴミを片付ける手は休めずに、

「結局、迷惑かけてる」

と、しょぼんとした魔力を漂わせている。

やる気はあるのよね、うん。やり方が分からなかっただけで…

「もう、大丈夫ですよ。一緒に頑張りましょう」

ジーク先輩はわぁ…と泣いている?のか手で顔を覆った。

「俺のフィーが優しいぃ…」

誰が俺の、だ!それに…

「ゴミを触った手袋で顔を触るな!」

なんだかんだいいながら、変な死骸は出てこず…部屋の3分の2のゴミは片付いた。

すると、突然ジーク先輩が、ああ!と言って立ち上がった。

「やばっ!忘れてた、フィーごめん!俺ちょっと出てくるから!すぐ戻るから後は宜しく」

「え?ちょっ…」

と、私が聞き返す前に瞬間移動で消えた。

逃げたのか?…いや、先輩はああ見えて責任感は強い。そのうち戻ってくるでしょう。

私は溜まったゴミ袋を両手に持って寮の横にある、ゴミ置き場に置きに行った。

「ふぅ…」

人の家とはいえ、片付いた部屋を見るのは気持ちいい。後もう少しだ。

「頑張るかー!」

そう言って伸びをした瞬間、鋭い魔力の気配を感じて身構えた。

瞬時に魔物理防御障壁を自身に張る。

数は6、7人か…。目の前にこの間対峙した侵入者と似たような風体の男達が現れた。

現れた6人はいきなり炎系の攻撃魔法をぶつけてきた。生憎だけど並みの攻撃魔法じゃ私の障壁は破れない。

すると、残りの1人が術の詠唱を終えた。

「魔法付与の攻撃!」

加重力魔法の剣圧が6人から一斉に障壁に打ち込まれる。しかも、こちらが防御一辺倒だと知っているのか、障壁の同じ箇所に何度も剣を振り下ろしてくる。

ここまで執拗に攻撃してくるなんて…まるで目的が私を殺すことみたいじゃない?

…ふーん。それならそれでやり方を変えるわよ。

私は左肩の上辺りの空間に手をかざした。

「舞い散れ!桜吹雪!」

私の解除の術と同時に空中に空間が開く。私は開いた空間に手を突っ込むとソレを引き抜くと一気に横に薙ぎ払った。

「ぐわっ…!」

2人がマトモに喰らって血飛沫をあげる。

私の手には血飛沫をまとった桜吹雪…私の魔剣が桜色の輝きを放っていた。

「誰だ、!ここで何をしてる!」

寮監さんが寮にいた若い兵士を数人連れて走ってくるのが見えた。

腹を切られた侵入者2人を抱えて逃げようとした奴等に向かって私は怒鳴ってやった。

「文句があるなら真正面から来い!」

ふん…

奴等は消えた。

「大丈夫ですか!?」

「問題ありません」

若い兵士3人は、地廻りと別隊ではあるが、見たことがある。

「ジークレイ様の奥方?」

「ええ!この人が…おわわ、この方が?」

すると、私の目の前にジークレイ先輩が現れた。瞬間転移の魔法だ。

「やーごめん、お待た…どうした?何があった?」

ジーク先輩は私が桜吹雪を持っていることと、地面に落ちた血で何が起こったか分かったらしい。

「すまんっ!あいつらまた来たのか…」

やっぱりどうも、おかしい気がする…私が猜疑心一杯の目でジーク先輩を睨むと、先輩は観念したのか、寮監さん達に詫びた後、私と寮の部屋に再び戻った。

「教えて下さい、先輩。この間の襲撃といい、先輩を攫おうとういうより…まるで私を狙っているみたいじゃありませんか?」

ジーク先輩は暫く、あ〜とか、う〜かとか唸っていたが諦めたのか、ベッドに腰掛けると口を開いた。