「──あ、芦名くんだ」


やっぱり、人気者の彼は、学校ではいつも囲まれている。


そのため、ここでは簡単に彼に近付くことはできない。


見つめていたら目が合ったけれど、すぐに逸らされてしまった。


……わかってはいるけど、やっぱり寂しくて。


「芦名~、朝、席替えだってね」


「ああ、そうだね」


そうだ。


次のホームルームで席替えがあるんだっけ。


運よく芦名くんの近くの席になれたら、思い切って話しかけてみよう。


………いや、芦名くんじゃなくても、話しかけよう。がんばろう。


友達と一緒に何かするような、快適なスクールライフのために……!


そう一人で意気込んでみたけれど、すでに仲良しグループができてることに気が付いて落ち込む。