#03


「やっとテスト終わった〜!」


 テスト明けほど開放的な瞬間はない。

 ……と、言いたいところだけれど。


「古都、どしたの」


 えみるのように、両手をあげて背伸びする余裕など、わたしにはなかった。


 『撃沈』の二文字が脳裏に浮かぶ。


「そうだ。カラオケ行こーよ」


 とてもじゃないが、歌える気分ではない。


 マサオミくん言ってたよね。

 今回のテストが乗り切れないようなら、この先やっていけない、みたいなこと。


 ………つまり、このままでは、留年。


「オンナを磨いてる場合じゃない」

「は?」

「帰って勉強する」

「そんなこと言わずにさ。パアッと息抜きしない?」