#02



『教えてやろうか。キスしたくなる雰囲気の出し方』


 いきなり呼び止められて。

 ベッドに引きずり込まれて。

 なに、言い出すかと思ったら。


 キスしたくなる雰囲気の出し方を教えてくれるだと……?


「どうする?」


 片方の口角をあげ、わたしを見つめてくる桝田くん。


「どうする……って」


 そんなの。

 そんなの――……


「教えて!!」


 もちろん知りたいに決まってる。


「桝田くん、何度もしたことあるの?」

「…………」

「やっぱりモテるとドラマチックな経験、あるんだー。地獄に還れとか言ってごめん。なんだ。人に親切にできるんだね?」


 桝田くんの笑みが崩れ。

 顔を引きつらせたあと、ため息をついた。


 なんか。

 すごく、呆れられたような……?


「桝田くん? どうしたの?」

「オモイ」