あれから数年の月日が流れた。

高校を卒業した私と涼太は、同じデイサービスで働いていた。涼太とは、まだ恋人同士だ。

花とは、私の数少ない親友になっていた。涼太は花を見ても、少し嫌そうな顔をすることが無くなっていた。約1年前、働いている職場で出会った彼氏と授かり婚をし、産まれたばかりの息子を一生懸命に育てている。

今日も仕事を終えた私たちは、いつものように家に向かって歩き始めた。

「ねぇ…今から俺ん家に来ない?」

涼太は寒さで真っ赤になった手に息を吐きながら言った。私は「うん。行く」と微笑む。

「じゃあ、行こうか」

涼太は、私の手を優しく握って歩き始める。私は、涼太に引かれて涼太の家に向かった。



涼太の新しい家に入る。リビングに入ると、私は椅子に座って伸びをした。

「梨香、一緒に作らない?ハンバーグを。高校2年生の調理実習で作ったように」

涼太はそう言って微笑んだ。涼太の手には、高校2年生の時にもらったプリントが握られている。

「うん。作ろうか」

私は、立ち上がりながら微笑んだ。彼にエプロンを借り、それを付けて2人でキッチンに並ぶ。

調理実習と同じ材料、同じ行程で作っていった。玉ねぎをみじん切りにし、きつね色になるまで炒め、合い挽き肉に炒めた玉ねぎ、牛乳、パン粉、卵、塩コショウを入れ、2人で手で混ぜていく。