とりあえず。1章目。
私、蒼井優夏は、黙っていれば清楚で可愛い女の子である。
名門と呼ばれる県内一の名門私立高校に通い、華奢で小柄。
舐められやすいのが難点。
ドンッ!
「きゃっ!!」
突然、誰かがぶつかってきた。
アスファルトに投げ出される私。
擦れた足がじんじんする。
転んだ拍子に足を捻ったらしい。
立ち上がれない。
最悪だ。
「あの…」
不意に上から控えめな声が降ってきた。
それもかなりのイケボ。
少女漫画だと、ぶつかってきた王子さまが謝りながら手を差し出してくるあのシーン。
「はい…」
何だか照れくさくなって、声の主の顔を見ずに応える。
しかし、なかなか手は差し出されない。
代わりに、
「あの…そこ邪魔なんでどいてください」
先程より幾分強気な声が返ってきた。
言葉の意味が理解できない。
邪魔…?どいて…?
「え…?」
救いを求める形で声の主を見た。
すると。
「うわぁ…」
分厚い眼鏡に重たい前髪。
そのせいで顔はよく見えないけど、目付きはものすごく悪い。
不清潔そうな制服は隣町の高校のもののようだけど、ヨレヨレのしわしわで、所々のほつれが目立つ。
「なんなんですか…早くたってください」
…オマケに女子を気遣う素振りもない横柄な態度。
この人、キモい。
ムリ。
でも、イライラする気持ちを必死に抑えて応える。
「足を挫いて立てないので手を貸してください」
完結に、感情を乗せずに。
こいつは所詮恋愛対象外。
好かれる必要はない。
そう繰り返して気持ちを落ち着かせていたのに。
「は…?…自分でどうにかしろよ」
ボソッ。
目の前の陰キャが呟いた。
ものすごく小さな声で。
でも、聞こえた。
私は短気だ。
シネ。
プツン。
頭の中で何かが切れる音。
「は?そっちがぶつかってきたんだろーが」
気づいたら凄んでいた。
自分の足で立って、陰キャ野郎の鼻先に顔を近づけて。
言い忘れていたが、私、蒼井優夏は、清崎高等学園の現役ギャルである。
「ひっ…」
陰キャ野郎の喉が引き攣る。
相手の方が背が高いのに。情けない。
「名前と学校名、学年を書いて。住所とメールアドレスも。それで今は許してあげる。」
私は可愛いメモを陰キャ野郎に差し出す。
ついでにキラキラのラメペンも。
「か、書かせてどうする気…?」
「どうされるかはこれからのアンタの態度次第じゃない?」
私がそう言うと、陰キャ野郎は震えながら手を動かしだした。
ペンが右へ左へと揺れる。
ふと思いつき、
パシャッ!!
陰キャ野郎の顔を撮影した。
ビクッと陰キャ野郎の肩が強ばる。
「えっ…」
「いや、アンタが嘘ついて書く可能性もあるから。これからあんたについて、情報網駆使して調べあげるだけよ。気にしないで書いて。」
陰キャ野郎はそれを聞いて涙目になりながら必死で書き直し出す。
あーあ。
そんな面倒なことするつもりなかったのに。
嘘ついてたんだ。
私の中でどんどんどす黒い気持ちが溜まる。
「こ、これで、許して下さい…」
書けたらしい。
汚い字。
「澤井玲翔。南辺高校2年3組。これで確か?」
聞くと、陰キャ野郎はコクコクとうなづいた。
「返事」
「はぃ…」
「じゃあ澤井玲翔。明日から覚悟して過ごしてね。」
「え、ええ…そ、それってどういう…」
そのまま何もせずに立ち去る。
玲翔が震えながら何か言っていたが、聞こえない。
私の新たなターゲット。
澤井玲翔。
明日からコイツに痛い目を見せる。
何故か。
南辺高校は公立高校だけど、偏差値が低い。
私の仲間も何人も在籍している。
それに、澤井は同級生。
何かとやりやすい。
それに、自分の学校じゃないから主犯格になったとしてもバレにくい。
早速ポケットからスマホを取り出す。
プルル…プルル…ガチャ。
「もしもし結衣?」
「あ、優夏だあ!どうしたの?」
「あのさぁ、アンタの学校に澤井玲翔ってヤツいるっしょ?そいつのことでお願いがあってさぁ」
「あぁ、同じクラス!前髪とかやばいし。で、どうしたの?」
「次のマト、アイツにしない?明日の放課後、いつものとこ連れてきてよ。みんなも集めるからさぁ」
「いいよ!優夏、怒らせちゃったんだ。澤井も結構強いね。」
「あ?馬鹿にしてんの?とりまよろしく頼むわ。いつもありがと結衣。」
「合点承知なの!!」
…プツン。
加井結衣。南辺高校2年。
彼女とは高校生になってから知り合った。
南辺高校は偏差値が低いのもあり、グレたヤツらも多い。
先輩の影響でギャルを始めた私は、手始めにに南辺高校の不良と顔合わせをされられた。
そこで出会ったのが加井結衣。
結衣は色白の肌にクリクリとしたした色素の薄い瞳、小さくぷっくりとした唇という整った顔立ちをしているのに、
髪にはブロンドの カラーをいれ、バチバチとしたマスカラ、濃い色のリップ。服装に至っては肩、胸元、へそ、腿下が丸出しで露出度MAX。なぜか異質な存在感を放っていた。
が、
そんな強そうな見た目なのに、
「わぁあっ!あなたが優夏ちゃん!?噂より可愛いぃ〜!!!」
第一声がこれである。
その後髪を染めた方が可愛いだのもっと濃いメイクをしろだのくどくど説教された。
普段の私ならここでブチ切れるところだけど、結衣はなぜだか憎めない。
本気で言っているのが痛いほど伝わってくるからだろうか。
とにかく私は結衣が好きなのだ。
親友ってやつかも知れない。
「さぁて、玲翔のやつに何させるかなぁ…んッ!?」
忘れていたが、足はものすごく痛い。
私、蒼井優夏は、黙っていれば清楚で可愛い女の子である。
名門と呼ばれる県内一の名門私立高校に通い、華奢で小柄。
舐められやすいのが難点。
ドンッ!
「きゃっ!!」
突然、誰かがぶつかってきた。
アスファルトに投げ出される私。
擦れた足がじんじんする。
転んだ拍子に足を捻ったらしい。
立ち上がれない。
最悪だ。
「あの…」
不意に上から控えめな声が降ってきた。
それもかなりのイケボ。
少女漫画だと、ぶつかってきた王子さまが謝りながら手を差し出してくるあのシーン。
「はい…」
何だか照れくさくなって、声の主の顔を見ずに応える。
しかし、なかなか手は差し出されない。
代わりに、
「あの…そこ邪魔なんでどいてください」
先程より幾分強気な声が返ってきた。
言葉の意味が理解できない。
邪魔…?どいて…?
「え…?」
救いを求める形で声の主を見た。
すると。
「うわぁ…」
分厚い眼鏡に重たい前髪。
そのせいで顔はよく見えないけど、目付きはものすごく悪い。
不清潔そうな制服は隣町の高校のもののようだけど、ヨレヨレのしわしわで、所々のほつれが目立つ。
「なんなんですか…早くたってください」
…オマケに女子を気遣う素振りもない横柄な態度。
この人、キモい。
ムリ。
でも、イライラする気持ちを必死に抑えて応える。
「足を挫いて立てないので手を貸してください」
完結に、感情を乗せずに。
こいつは所詮恋愛対象外。
好かれる必要はない。
そう繰り返して気持ちを落ち着かせていたのに。
「は…?…自分でどうにかしろよ」
ボソッ。
目の前の陰キャが呟いた。
ものすごく小さな声で。
でも、聞こえた。
私は短気だ。
シネ。
プツン。
頭の中で何かが切れる音。
「は?そっちがぶつかってきたんだろーが」
気づいたら凄んでいた。
自分の足で立って、陰キャ野郎の鼻先に顔を近づけて。
言い忘れていたが、私、蒼井優夏は、清崎高等学園の現役ギャルである。
「ひっ…」
陰キャ野郎の喉が引き攣る。
相手の方が背が高いのに。情けない。
「名前と学校名、学年を書いて。住所とメールアドレスも。それで今は許してあげる。」
私は可愛いメモを陰キャ野郎に差し出す。
ついでにキラキラのラメペンも。
「か、書かせてどうする気…?」
「どうされるかはこれからのアンタの態度次第じゃない?」
私がそう言うと、陰キャ野郎は震えながら手を動かしだした。
ペンが右へ左へと揺れる。
ふと思いつき、
パシャッ!!
陰キャ野郎の顔を撮影した。
ビクッと陰キャ野郎の肩が強ばる。
「えっ…」
「いや、アンタが嘘ついて書く可能性もあるから。これからあんたについて、情報網駆使して調べあげるだけよ。気にしないで書いて。」
陰キャ野郎はそれを聞いて涙目になりながら必死で書き直し出す。
あーあ。
そんな面倒なことするつもりなかったのに。
嘘ついてたんだ。
私の中でどんどんどす黒い気持ちが溜まる。
「こ、これで、許して下さい…」
書けたらしい。
汚い字。
「澤井玲翔。南辺高校2年3組。これで確か?」
聞くと、陰キャ野郎はコクコクとうなづいた。
「返事」
「はぃ…」
「じゃあ澤井玲翔。明日から覚悟して過ごしてね。」
「え、ええ…そ、それってどういう…」
そのまま何もせずに立ち去る。
玲翔が震えながら何か言っていたが、聞こえない。
私の新たなターゲット。
澤井玲翔。
明日からコイツに痛い目を見せる。
何故か。
南辺高校は公立高校だけど、偏差値が低い。
私の仲間も何人も在籍している。
それに、澤井は同級生。
何かとやりやすい。
それに、自分の学校じゃないから主犯格になったとしてもバレにくい。
早速ポケットからスマホを取り出す。
プルル…プルル…ガチャ。
「もしもし結衣?」
「あ、優夏だあ!どうしたの?」
「あのさぁ、アンタの学校に澤井玲翔ってヤツいるっしょ?そいつのことでお願いがあってさぁ」
「あぁ、同じクラス!前髪とかやばいし。で、どうしたの?」
「次のマト、アイツにしない?明日の放課後、いつものとこ連れてきてよ。みんなも集めるからさぁ」
「いいよ!優夏、怒らせちゃったんだ。澤井も結構強いね。」
「あ?馬鹿にしてんの?とりまよろしく頼むわ。いつもありがと結衣。」
「合点承知なの!!」
…プツン。
加井結衣。南辺高校2年。
彼女とは高校生になってから知り合った。
南辺高校は偏差値が低いのもあり、グレたヤツらも多い。
先輩の影響でギャルを始めた私は、手始めにに南辺高校の不良と顔合わせをされられた。
そこで出会ったのが加井結衣。
結衣は色白の肌にクリクリとしたした色素の薄い瞳、小さくぷっくりとした唇という整った顔立ちをしているのに、
髪にはブロンドの カラーをいれ、バチバチとしたマスカラ、濃い色のリップ。服装に至っては肩、胸元、へそ、腿下が丸出しで露出度MAX。なぜか異質な存在感を放っていた。
が、
そんな強そうな見た目なのに、
「わぁあっ!あなたが優夏ちゃん!?噂より可愛いぃ〜!!!」
第一声がこれである。
その後髪を染めた方が可愛いだのもっと濃いメイクをしろだのくどくど説教された。
普段の私ならここでブチ切れるところだけど、結衣はなぜだか憎めない。
本気で言っているのが痛いほど伝わってくるからだろうか。
とにかく私は結衣が好きなのだ。
親友ってやつかも知れない。
「さぁて、玲翔のやつに何させるかなぁ…んッ!?」
忘れていたが、足はものすごく痛い。