【オレンジ色の夕日】


庭に咲いた、色とりどりのチューリップに、あたしはジョウロで水をあげていた。


チューリップを綺麗だと思わなかったことなんてない。けれど、あたしの中学校生活最後の春にチューリップが美しく咲いてくれたこと。それがとても嬉しくて、あたしは頰を緩ませた。


『花蓮(かれん)』。小園 花蓮(こその かれん)。
あたしの名前。


『チューリップのように、元気な子に育ってほしい』。


そんな願いで、お母さんがつけた『花蓮』というあたしの名前。


確かに、あたしは自分でも活発な方だと思っているけれど『チューリップのよう』というのは、ちょっと違う気がした。


チューリップは大きい花だけれど、わたしの背は小さい。背の順だって、毎年1番前なのだ。お父さんもお母さんも高身長ではない。けれど、周りの人たちは全員お母さんの身長を抜いている。


どうして、あたしだけがお母さんの身長を抜かすことができないんだろう。