(* 飛鳥 side**)



「わ〜っ、すごい!」


空に打ち上がった花火を見て、花帆は嬉しそうに目を輝かせた。



連れてきてよかった。


この場所は、一度だけ探しにきた特等席。



ガキの頃、会場に行きたがっていた花帆のために、花火大会の前日に探して見つけた場所だ。


結局来ることはなかったけど、いまこうやって連れてこれたなんて不思議。

さっきの花帆の言葉じゃないけど、こうして花帆と恋人として来られるなんて。



「すごいね、飛鳥くん。本当に特等席だね」


はしゃぐ花帆の姿が愛おしくてくすりと笑うと、「また笑った」と彼女は頬を膨らませた。


本人にして見れば不機嫌をアピールしたいんだろうが、あいにくそれは逆効果でしかない。