幼い頃、私は風船が嫌いだった。


ことあるごとに大人は風船を押し付けてきたけれど、風船が割れる音はいつまで経っても好きにはなれなかった。


なんといっても、ふとした瞬間に手から滑り出てしまうあの虚無感が、どうにも私の心を締め付けるのだ。


だから私は、今でも風船があまり好きではない。