◯土曜日、竜二のマンション

雫はバイトがある為竜二が車で迎えに行くのを断って自転車で来た

ピンポーン

竜二 「はい、下で待ってて」

雫  「はい」

しばらくするとエントランスから竜二が出てきた。

ラフなTシャツにジャケット、ジーンズを履き現れた

竜二 「おはよう、早くなかった?」

雫  「大丈夫です。真中さんこそ昨日は遅くなかったですか?」

竜二 「昨日は早く帰れたよ。買い物行こうか?」

雫  「買い物ですか?」

二人は駐車場に向かう

雫  「この間のと違う車……(また高そうな車)」

竜二 「あれは仕事用、仕事の帰りだっただろう?」

雫  「はい」

雫は助手席を開けてもらい高級車に乗り込む



◯生活用品店に到着する(車の中)


竜二 「家に何もないからさ、雫ちゃんと一緒に選ぼうと思って、実は部屋の模様替えがしたくてね」

雫  「模様替え……」

竜二 「雫ちゃん、俺の部屋に来てどう思った?」

雫  「どうって……」

竜二 「正直に言っていいよ」

雫  「えーっと、黒が基調なので暗くて生活感のない部屋だなぁと」

竜二 「だよね(笑)まあ実際帰って寝て仕事に行くの繰り返しだったからさ、この間熱出した時に雫ちゃんがいてくれたのすごく嬉しかったんだよね」

雫  「体調悪いと一人は不安ですよね」

竜二 「だよね、俺さ、もう少し明るい部屋にしたいんだよね」

雫  「はあ」

竜二はシートベルトを外して雫の方を向く

竜二 「突然でびっくりするかもしれないけど……雫ちゃん!俺と一緒に住まない?」


雫はポカンとして竜二を見る


竜二 「雫ちゃん?」

雫  「あっ、本当にびっくりしました」

竜二 「ごめん」

雫  「一緒に住むとは同居ってことですか?」

竜二 「ううん、もう俺そんなに若くないから……こんなこと言うの恥ずかしいんだけど、同居じゃなくて同棲の方」

雫  「同棲?」

竜二 「順番が逆だよね、まだ付き合ってないのに先に一緒にいたいことばっかり考えて、肝心な事言ってなかったもんね……」


竜二は雫の手を握った


竜二 「雫ちゃん、俺と付き合って欲しい!」

雫  「わ、私ですか?」

竜二 「うん!」

雫  「本当に私?でいいんですか?」

竜二 「雫ちゃんがいいんだよ」


雫  「先週……熱出してしんどそうなの見て……ついていてあげたいって思いました……とても心配でした……」

雫は涙ぐんだ

雫  「もう、無茶な仕事の仕方しないで下さい、ぐすっ」

涙を手でふく


竜二 「わかった。無理はしない。もう若くないと自覚したから(笑)」

雫  「(笑)まだ二十代なのに若いですよ」

竜二 「じゃあ、買い物しよう」

竜二は雫の少し残った涙を指でぬぐって車から降りる


◯店内

雫  「あの、炊飯器が欲しいです。ご飯炊けません」

竜二 「(笑)そうだね、電化製品は帰りに買おう。別に俺は雫ちゃんを家政婦みたいにするつもりは全くないからね。ちゃんと俺も手伝うし、ただ少しでも一緒にいたいから同棲したいってことだからね」

雫  「わかってます。でも料理は私の担当です!」

竜二 「まかせる(笑)急に引っ越しは無理だから徐々にね、生活スタイルもいきなり変えると疲れるし」

雫  「はい」

竜二 「食器と鍋類から揃えていこうか?」

雫  「はい、でも……お金かかりますよ?」

竜二 「お金のことは心配しなくて大丈夫、それなりに稼いでます。何でも欲しいもの買おう」

雫  「大手スーパーの部長ですもんね(笑)」


竜二は雫の頭をひきよせる

雫は真っ赤になった


雫  「あの、ここお店……」

竜二 「嬉しくて(笑)帰りにスーパーも寄ろうね」

雫  「はい」


二人は生活用品をたくさん買って炊飯器を購入し、スーパーで食材を買って帰った


◯竜二のマンション

雫  「沢山買っちゃいましたね」

竜二 「うん」

雫  「片付けますね」

竜二 「手伝うよ」

雫  「ダイニングは私が片付けます。真中さんは寝室のカーテンとシーツの交換をお願いします」

竜二 「はーい」

雫と二人で笑いあった

竜二はカーテンとシーツを外してリビングに持っていき畳む

雫  「真中さん、早いですね」

竜二 「雫ちゃん」

雫  「はい?」

竜二 「俺の下の名前知ってる?」

雫  「あっ、そういえば……ごめんなさい確か回覧に書いてあったのに」

竜二 「竜二」

雫  「はい!竜二さん、では物干し買ったので布団干しましょう。シーツとカーテンはクリーニングに出して予備で置いときましょうね」

竜二 「あっ、いつもスーツとか出してるクリーニング店でいいのかな?カーテンとか出したことないけど」

竜二はクリーニング店のカードを見る

雫も除き込んだ

雫  「あっ近くですね、帰りに出しておきます」

竜二 「じゃあ、封筒にお金いれておくよ」

雫  「はい、お昼にしますか?」

竜二 「うん」


二人は一緒にパスタを食べる

竜二 「美味しい!」

雫  「今日は茹でて市販のソースかけただけですよ(笑)」

竜二 「雫ちゃんと食べるっていうのがいいんだよ」

雫  「それなら私もです。いつも一人で食べているので(笑)」

竜二 「明日は空いてる?」

雫  「はい」

竜二 「今日の夜ね大学時代の友達と飲み会があるんだ」

雫  「久しぶりですか?」

竜二 「そうだね。でね、明日二日酔いになると思うんだ。だから何か消化のいいものを昼に食べたい」

雫  「朝は?」

竜二 「寝てるはず(笑)」

雫  「何にしますか?」

竜二 「この間の鍋焼きうどんが食べたい。今日土鍋買ったし」

雫  「はい」

竜二 「多分一人泊まると思うから雫ちゃんの分と三人分用意してきてね」

雫  「はい、わかりました」

竜二 「これ、渡しておく」

雫  「えっ、これは……」

竜二 「合鍵とエントランスの番号」

雫  「こんな大事なもの預かっていいんですか?」

竜二 「うん、当然。一緒に住みたいって言っただろ?明日寝てるかもしれないし、これで入ってきて」

雫  「はい、大切にお預かりします」

雫は頭を下げた

竜二 「さて、もう少し片付け頑張るかな」

雫  「はい!」


三時間後

竜二 「雫ちゃん、そろそろ時間だよ」

雫  「あっ、もうそんな時間ですか?」

竜二 「半日じゃ全部は無理だね。でも寝室明るくなった」

雫  「ですね」

竜二 「窓もほとんど開けることなかったからな」

雫  「換気は大事ですよ。じゃあ私クリーニング寄って帰りますね」

竜二 「うん、気をつけて」

雫  「はい、竜二さんも楽しんできてくださいね」

竜二 「うん、明日よろしく」