ケータイ小説 野いちご

エリート外科医は甘く強引に溺愛する

きみは俺のもの


「いやぁ、はっはっ。一時はもうダメかと思ったよ。俺にもとうとうお迎えがきたかぁってね」

きらきらとまぶしい朝日が射し込むデイルームで、そこにそぐわない大きな笑い声が響いた。

すっかり元気になったお父さんは術後五日も経過すると、徐々に回復し傷の痛みも大分治まったようだ。

昨日からトイレ以外にも積極的に動けるようになり、病室にいては気が滅入るからと言って入院患者や面会者が集うデイルームに足を運んでいる。

社交的なお父さんは垂れ目でいつも笑っているせいか、親しみやすさを感じてもらいやすいみたいで誰とでもすぐに仲良くなることができる、いわばムードメーカーのようなものだ。

この性格だからお店のお客さんともすぐに仲良くなり、よく誘われて一緒に飲みに行ったりもしている。

ここでも入院中に患者さんやスタッフとも仲良くなって、今ではその人たちと談笑しながら入院生活を満喫している。

「お父さんっ、そろそろ回診だよ」

「おー、柚。今日もがんばってるな」

前合わせの入院着に身を包んだお父さんが、満面の笑みを浮かべながら片手を上げる。まったく、のんきなんだから。

「ほらほら、早く部屋に戻る。山田さんも、そろそろ回診ですので」

山田さんも今ではすっかり回復して元気を取り戻し、このまま順調にいけば明後日には退院だ。


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