五時間目終了のチャイムが鳴り響いた後すぐに、梨乃が迎えに来てくれた。

心配した、と誰より優しい親友は私の体調を気遣いながらもお小言をくれた。

雪華から事の経緯の詳細を聞き、担任の先生からも言付けを受け取っていた親友は、状況を正しく理解していた。

 
その後、自宅まで送り届けようとしてくれる梨乃に、大丈夫と何度も断ってからひとりで帰路についた。

最近は皆に心配をかけてばかりいるし、もっとしっかりしなくては。

雪華を好きな気持ちはもうなにがあっても揺るがない。どうあっても彼を諦めるなんてできないのだから。せめて好きな人を守れるくらいにもっと強くなりたい。

今のままでは負担をかけてしまってばかりだ。


帰宅して担任の先生に連絡をし、雪華にもメッセージを送ると瞬時に体調を気遣うメッセージが返ってきた。
本当にきちんと授業に参加しているのだろうかと疑問に思う。



翌日の終業式は随分晴れやかな気持ちで迎えた。

昨日一緒に登下校できないと言われていたので、今日はまだ姿を見ていない。

朝、いつも通りの電車に乗り合わせた楠本くんに、おじい様の家に行っているようだと聞かされて少し違和感を覚えたけれど、深く尋ねなかった。なにかあれば話してくれるだろう。

楠本くんも今日の帰りは用事があるらしく、久しぶりに女同士で帰宅した。