「あ、ナナちゃん!」
明るい声で突然、葉山さんに声をかけられた。
昼休みになりお弁当の準備を今朝できなかった私は、食堂にパンをひとりで買いに来ていた。
友人たちは教室にいる。お目当てのパンを購入し、教室に引き返そうとしていた時だった。
「葉山さん……」
「夏加でいいよ!」
彼女の手にも三つばかり菓子パンが入った手提げ袋が握られている。
「ねえ、私、ナナちゃんに話があるの! 今、いい?」
「あ、でも教室で友だちが待ってるから……」
正直ふたりきりで話したくない。やんわり断ろうとするが引き下がってくれなかった。
「そうなの? じゃあ教室に戻りながら話そう」
ふわりと可愛らしく頬を緩めて言う葉山さん。
高校の食堂は保健室の真下、地下一階に位置しているので、お互いの教室に戻る道のりは途中まで一緒になる。
諦めて渋々頷くと、葉山さんは保健室のすぐ横に通じる階段を上り始める。
ここは人気の少ない階段で、以前梨乃に雪華への気持ちを打ち明けた場所に通じている。
明るい声で突然、葉山さんに声をかけられた。
昼休みになりお弁当の準備を今朝できなかった私は、食堂にパンをひとりで買いに来ていた。
友人たちは教室にいる。お目当てのパンを購入し、教室に引き返そうとしていた時だった。
「葉山さん……」
「夏加でいいよ!」
彼女の手にも三つばかり菓子パンが入った手提げ袋が握られている。
「ねえ、私、ナナちゃんに話があるの! 今、いい?」
「あ、でも教室で友だちが待ってるから……」
正直ふたりきりで話したくない。やんわり断ろうとするが引き下がってくれなかった。
「そうなの? じゃあ教室に戻りながら話そう」
ふわりと可愛らしく頬を緩めて言う葉山さん。
高校の食堂は保健室の真下、地下一階に位置しているので、お互いの教室に戻る道のりは途中まで一緒になる。
諦めて渋々頷くと、葉山さんは保健室のすぐ横に通じる階段を上り始める。
ここは人気の少ない階段で、以前梨乃に雪華への気持ちを打ち明けた場所に通じている。