第3章  1999年




神奈川県警 東条ケン
********************************************


“プルルルルル プルルルルル”


2度目の電話が鳴った瞬間、新谷がすぐにトランシーバーを片手に取る。


1度目の電話があった横浜駅近くの公衆電話。

そこで張り込みしている捜査員へ指示を送ってくれた。



「もしもし・・黒部です。」


車の準備を終えた黒部さん。

リカさんの声を聞いたことで1回目よりは多少落ち着いた感はあるが、

それでもまだ受話器を取る手は震えていた。



<それでは今から現金の受け渡しについて連絡するまず今から言う住所にある喫茶店へ向かえ横浜市・・・>


・・・・・・・・・・?


困惑したのは黒部さんも同じだった。

思わず受話器を貰う。


「もしもし、東条だ。少し早口すぎる。

喫茶店の住所をメモするからもう少しゆっくりと喋ってくれないか?」