長い廊下を歩きながら
壁に貼ってあるテープに気づいた


食堂→
トイレ→
お風呂→

矢印を追うと目的の場所に着くらしい


「これは若頭が提案されて」

防犯のために
行き先を書けない場所は

熊と母の部屋は
ピンクのテープに矢印

私の部屋は
水色のテープに矢印

というようにテーマカラーのテープが目印になるらしい

理樹さんの優しさに感謝しながら
自分の部屋までテープを見ながら行きたいと

星吾さんに先導をやめてもらって

並んで歩いてみた


「水色・・・水色・・・」


オリエンテーリングみたいで楽しくなって
あっという間に部屋の前に到着した


「星吾さん、これ良いね」


テープを指差しながら
初めて名前を呼んでみると


「あ、はいっ、良いっす」


後頭部を掻きながら
頬を赤らめた


・・・可愛い


髪は黒の短髪で
人懐っこい雰囲気を醸し出しているのは垂れ目の所為かもしれない


「星吾さんは此処に住んでるの?」


「あ、はい」


「私が敬語やめるのに
星吾さんもやめないと変よ?」


「あ、いえ、自分と
こ、琴さんとは立場が違うっす」


「どんな立場?」


「あ・・・あの・・・
住んでる世界が違うというか」


明らかに困っている様子は分かるけれど

ここで諦める訳にはいかない


「同じ地球に住んでるけど?」


「へ?あ、はい、いや・・・」


頭を掻き過ぎて血が出るよ?
口には出さないけどね!

そう思っていると


「琴の言う通りにしてやれ」


突然現れたのは理樹さん


「は、若頭!すいやせん!」


上半身が90度折れ曲がった
直角お辞儀に驚きながら


「理樹さん色々ありがとうございます」


ペコっと頭を下げると
隣に立って頭を撫でてくれた