「「「クーーーン」」」


「キャー、ちょっ、やめてっ」


「「「クーーーン」」」


「あ、アハハ、やーー」



3匹に乗り掛かられ

舐められ・・・

・・・撫で回し

セーラー服を一瞬で泥だらけにした私の前に


「琴」


スーパー重低音の理樹さんが現れた


「あっ」


ワシャワシャと撫でる手を止めて
理樹さんを見上げると


「ブッ」


今度は口に手を当てずに
吹き出した

偉そうなことを言って
部屋を飛び出した私

靴も履かずに庭を疾走し
番犬に揉みくちゃにされている私

笑われるネタがあり過ぎて
恥ずかしい

熱くなる頬は
暗がりでバレないだろうと隠さず

撫でてくれと頭を寄せる3匹を
順番に撫でていると


「琴、行くぞ」


少し優しい表情をした理樹さんが
目の前に手を差し出した


「・・・あ」


気まずい

だって・・・
あの部屋に戻る勇気は無いんだもん

絶対母も怒ってるはずだし・・・

躊躇う気持ちで動けない私に


「また仕切り直せばいい」


優しく声を掛け
頭を撫でてくれた理樹さん


「風邪引くだろ」


泥がついた白いソックスの足元を見ると

3匹から引き剥がすように抱き上げた


「わ、あ、あの・・・」


「掴まってろ」


「は、恥ずかしいんですけど」


「此処へ着いた時もこれだったぞ?」


「へ?」


下ろして欲しいと言う私を
何度も軽く躱しながら歩く理樹さん

お姫様抱っこのまま
3匹に小さく手を振ると

諦めて言われる通りに
理樹さんの首へ腕を回した