神藤さんとの新生活。


お互いがお互いのペースを守りながらも、顔を合わせればくだらないことを言い合ったりで、とにかく一緒に暮らしていても苦痛がなかった。

1週間が過ぎる頃には、私たちはずっと昔からこうやって過ごしていたんじゃないかと錯覚してしまうほど、神藤さんといることが当たり前になった。



それから、携帯の番号を変えた。

背中まであり、緩く巻いていた髪を鎖骨のあたりまでばっさり切って、ストレートにして暗い色に変えた。


髪型に合わせて、服装もギャルっぽい感じから少し清楚なものに変えたので、これなら誰に会ってもすぐには私とは気付かないだろう。



神藤さんは、そんな私を見て、「別人みたいだな」と言った。



「実はさぁ、昼間、キャバの時のお客さんを見かけちゃって。同じ街にいるんだから当然なんだけど、いきなり辞めたこと怒られたり、今何してるのかって聞かれたらまずいと思って」

「あぁ、それでか」

「まぁ、新生活だし、心機一転って感じで、大人っぽくイメチェンしてみたの。どう?」

「そっちの方が似合ってるよ。バカっぽさがなくなった感じで」

「一言多いんですけど」


相変わらずの言い合いをしながら、ふたりで笑う。



順調にいけば、1年後には、私はまとまった額のお金を手にできるだろう。

そしたら耐震偽装の心配のない、ちゃんとした部屋に住めるし、それからきちんと就職だってしたい。


とにかく私は、捨てたものはもう気にせず、これをチャンスに、新しい自分に生まれ変わりたいと思ったから。