あぁ、もう、ほんと最悪。


熱で意識がもうろうとする中、近所の自動販売機で飲みものを買うために、私はふらふらとした足取りで、歩を進める。

頭は痛いし、気持ち悪いしで、気を抜けばすぐに倒れてしまいそうだ。



それでもどうにか自動販売機までたどり着き、震える手で財布から小銭を取り出した時。



「……あ」


手から滑り落ちたそれは、無情にも地面を転がっていく。



「嘘でしょ……」


たかが100円。

されど100円。


無意識のうちに、私は鈍色に輝く硬貨を追いかけていた。



転がった100円玉はしばらくの後に止まり、ほっと安堵して拾い上げようとした私を、車のヘッドライトが照らしていた。

気付けば私は車道に出ていて、悲鳴にも似たブレーキ音が響いている。


あ、やばい、死ぬ。