結局、それらしきものが見えてきたのはセデを出て4日目の昼ごろだった。

「あれって街? もしかして、やっと?」

 思わず立ち止って呟いていた。
 草原の向こうに建物の屋根らしきものが確認できたのだ。
 あれがルバートだろうか。

 ――ちなみに、あの後も野盗に襲われること2回。モンスターに襲われること10回以上。途中数えるのが面倒になって止めてしまったほどに敵と遭遇した。
 その度ラグとセリーンの二人がすぐに撃退してくれるのだが、昨日の朝など起きた途端その目に飛び込んできたモンスターの死骸に、危うく吐いてしまうところだった。胃が空っぽだったのが幸いしたけれど……。

 しかし二人とも相当戦い慣れているのが見て取れた。
 上手くは言えないが、セリーンの場合動きに無駄が無く鮮やかなのだ。時にその剣さばきは優雅に踊っているようにさえ見えた。
 ラグはセリーンと比べて大分荒っぽい戦い方だったが、とにかく素早く敵に反撃のスキを与えなかった。
 彼はあれから一切術は使わず、例のナイフと自分の手足をフルに使って応戦していた。

 日に日にセリーンの目が据わっていくのがわかったが、私は……おそらくはラグも敢えて知らないふりをしていた。と、

「あぁ、あれがルバートだ」

後ろにいるセリーンが一段と低くなった気がする声で答えてくれた。

 私は、ほぅと息を吐く。