#09


「誕生日おめでとう〜!」

 予定どおり、玲二くんの家で誕生日会が開催された。

「よかったね、レイジ。ハーレムじゃん」

 女の子ばかり集まって、玲二くんが自分の家なのに肩身狭そうにしている。

 ここに来ることは巧くんに話してきた。

 行っておいでって、言ってくれた。

 それが心からの言葉じゃないことはわかったけれど、嘘でもないと伝わって嬉しくなった。

 巧くんは。
 大きく変わり始めている。


「花、おめでとーう!」

 暗い部屋で誕生日ケーキのロウソクに灯された火を、消したり。

「撮るよ〜」

 たくさん写真を撮った。

「うちからのプレゼントだよーん」
「ええっ」

 袋の中身は、真っ白なビキニ。

「マジで持ってきやがったのか」

 玲二くんが苦笑いしている。

 ビキニといっても、下はフリルのついたスカートみたいになっていて。
 上はリボンがついてて。

「……かわいい」

 思わずつぶやいたら。

「花!?」

 みんなを驚かせてしまった。

 巧くん、こういうの好きかな。
 自分はあげたことないのにって怒るかもしれないな。

 巧くんは今、入院している。

 学園祭に出られなくて残念がっていた。
 わたしの和装、見たかったって。

 そんなものいくらでも見せてあげるって言ったら、いちばんに見せてって言われた。

 だから当日、真っ先に写真を送ろうと思う。

 休学して治療に専念すること。
 馨さん、とても喜んでいた。

 表向きは留学ってことになっていて。

 本当のことはごく僅かな人間しか、知らない。