#02


 六月に入り、衣替えをした。

「おはよ〜!」
「おはよう」

 下足場で、沙羅に会う。

「うちのセーラーってさ。冬も可愛いけど、夏服もヤバいよね」

 くるりと一周まわって微笑む沙羅。

「ズボンが履きたい」
「似合ってるよー、花」
「……そのスカート」

 明らかに、短い。

「へへ。切っちゃった」

 標準丈の半分もないのでは……?
 同じ服を着ているとは思えない。
 上級生みたいに、着こなしている。

「花のも。やってあげようか?」
「いやだよ」
「見てみたいな〜。ミニ履いてる花」
「ぜったいに見られないね」
「誕生日いつ?」
「七月」
「え、来月!? だったらミニスカートやめてビキニあげる」
「そんなのもらってどうすればいいの」
「もちろん夏になったら一緒に海に行くんだよー」
「もちろんの意味がわからない」
「だって。うちら、友達じゃん?」
「…………」

 友達と言われて悪い気はしない。
 だが、海に行く気は微塵もない。

「最近カップル誕生しすぎだと思わない?」

 沙羅の視線が少し離れたところを歩いているクラスメイトに向けられる。

「あの二人。恋人なんだね」
「見ればわかるでしょ、見れば」

 わかんないよ。

「あ、仁瀬くんだ!」

 校門からこっちに歩いてくる。
 両手に花で登校してくるのは我が校の王子様。