「大したもんだ。真紅のメンタルの強さ。俺だったらとうに折れてんだろうなー」

「転生の記憶が甦ってなお、正気でいる、か。……過去には耐えられなかった者がいるのか?」

「そりゃあ、小路の始祖は確認されているだけでも八人はいるからな。影小路(俺たち)が把握していないだけで、生まれていた転生がいてもおかしくない。始祖の転生のそのほとんどが当主になってきたとは言われるが、覚醒を得て心を壊した者もある。……過去の記憶に耐えきれなくてな」

いつも飄々(ひょうひょう)とした一つ年上の幼馴染を隣に見て、俺は一度瞬いた。

たまに、黒い陰陽師と言われる、影小路黒藤は俺のいる家を訪れる。

俺を主とする、月御門家、東京の別邸だ。