前よりも確実に縮まっていく距離。
どんどんどんどん、気持ちも大きくなっていく。
これ以上好きになったら、どうなっちゃうんだろう……。
「おい、そっち行ったぞー!」
「ナイスパス!」
「行け、打て!」
キュッキュッとバッシュが擦れる音と、ボールをドリブルする音が体育館の中に響いている。
あたしは体育館の入口のドアから、部活中の斎藤くんを眺めていた。
ミニゲーム中の一方のチームの中に、体操服の上にビブスを羽織った斎藤くんがいる。
流れる汗を体操服の袖で拭いながら、ボールを追っている横顔はすごく真剣で。
斎藤くんは集団の中でもすごく目立っていて、誰よりも動いているのがよくわかる。
その姿がすごくカッコよくて、まるで吸い寄せられるように目が離せなくなった。
体育館の中にはたくさんのギャラリーの女の子がいて、きゃあきゃあと黄色い歓声が飛んでいる。
「斎藤先輩、ほんとカッコいい」
「ねー、ヤバいよね。うちらの学年にあんな人いないし」
「本気で惚れそう。あー、彼女になりたーい」
「そういえば、別れたんだっけ?」
「じゃあいけるんじゃない? そこそこかわいかったら、誰でもオッケーしてくれるっていう噂だし」
「じゃあ、試しに告白してみようかな。それで付き合えたらラッキーじゃん」
「棚ボタ的なね」
「そうそう、みんなに自慢できるし」
「だ、ダメッ!」