「い……っ」


目が覚めたら、猛烈な頭痛が襲ってきた。


きっと薬品のせいだろう。


「…何ここ」


薄暗く、灰色の冷たいコンクリート壁に囲われてる部屋に転がされているあたし。


その腕に痛みを感じ、動かそうとしたが、動かない。


手枷のようなもので頭上に固定されている。


コンクリートの床が冷たい。


鉄格子付きのはめ込み窓の外には、どしゃ降りの雨が見える。


外はまだ暗い。


「よぉ」


真上から覗き込むように、金髪の男が姿を現した。


気配を感じなかっただけで、ずっと居たのかもしれない。


拉致される前もだけど、この男は本当に気配を感じさせない。