企業が倒れると、そこで働いている何人もの人が路頭に迷うことになる。

その点、うちは経営者が退いて新しくなったことで倒れることはなかった、だけだ。

その他は全部、駄目になった。



ピ、ピ、ピ、と規則的な電子音。これは病室を出ても耳に残る。

少しも目覚める気配がない。目の前で横たわるこの人物が人間か否かと聞かれたら、わたしは即答することができない。

仮にも、家族だというのに。

そんな冷たい感情に横顔を向けて、それでもここに来てしまう理由はなんだろう。

どこかで、本当は一番に、この人に救って欲しかったのかも、しれない。