財布のカードを出してトレイの上に置くと、店員さんより先に浅黄さんに取られた。
何事かと店員さんと二人してそちらを見上げる。
「こっちで」と浅黄さんが黒革の財布からブラックカードをぽいっと出す。それに目を見張った。
「お、お預かりいたします……」
店員さんもそれを丁重に持ってレジキャスターに通す。
一度鼎の大学の友人だという子がそれを持っていたのを見た以来だった。まさかこんなに近くにこのカードを持っている人がいるとは。
「ご、ご馳走様です……」
「は?」
「あ、違った。ありがとうございました」
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