朝日が入ってきたのを感じて藍里はそっと目を開けると寝室は明るくなっていて、また一日が始まったのを知った。

「今日はお休み……買い物の日……」

智大の休みの日に合わせて藍里も休みをとっているのだが、それは男性恐怖症のせいで人の多い所へ一人で買い物に行くのが怖い藍里が、結婚した当時に勇気を振り絞って智大にお願いしたことだった。

ーーいいけど、何かあれば休日でも何処にいても現場に向かうぞ?

そう言われて、それでもいいとお願いしたのは藍里なので文句はないし、それは警察としても特殊班としても当然だと思う。
実際はそんな事になるような大きな事件はここ最近起こっていないので、平和なんだなぁ。と感じていた。

そうベッドの上でぼんやりと考えていると、どこからかコーヒーの香りがしてきた。

慌てて身を起こして時計を見れば、まだ朝の早い時間。
けれど早朝から体力作りの一環として走り込みをしてシャワーで汗を流す習慣のある智大にとっては、今の時間は決して早い時間ではないようだ。

また寝過ごしたと血の気が引く思いをしながら、藍里は慌ててベッドから下りてコーヒーの香りがする階下のリビングへと足早に向かった。