あの日から梶谷先輩とは
話さなかった。

きっとそれは、私が梶谷先輩を
避けているせいだ。
正確には、梶谷先輩に
どう接していいのか分からない。

梶谷先輩から向けられているかもしれない
好意の話ではなく、私の家の事情を
梶谷先輩が知ってるから
無意識に、でも自然に私は
梶谷先輩の事を避け始めた。

朝練を見るためにいつも通りの時間に
サッカー部の部室前へ行くと
いつもはいるはずのない
梶谷先輩がそこにはいた。

例え、避けていたとしても
挨拶くらいは普通に交わす。
それは、人として当然の事だ。

龍星「おはよう、北見ちゃん。」

雫「おはようございます。」

きっと、梶谷先輩も気付いている。
私が避けている事に。

でも、それを咎めないのが
梶谷先輩の優しさだ。