和士side
さっきの暴走で、体が悲鳴を上げた
紫音にベッドに寝かせる様伝え、リビングに戻る
ソファに座ると紫音が向かいに座る

「俺には説明してくれるよね?」
「ああ、でも条件がある」
「何」
「絶対に誰にも言うな。勿論、蓮にもだ」
「!? 和士さんは分かってるよね?蓮が姉さんを好きだって」
「だからこそ、黙ってなきゃいけない。今の栞にも、蓮にも言っちゃいけねぇんだ」
「…」
「栞が誘拐されてから、9年後位に俺が見つけた。
病院で検査して、落ち着いて話を聞けば、普通の生活を…世界を知らずに生きてきてた
検査の結果、記憶喪失だと分かった。
但し…蓮に関する記憶だけな」
「何で、蓮だけ…」
「さぁな。でも記憶が無い状態で、栞として蓮に会わせる訳にはいかねぇ
お互いの為に、分かるだろ?」
「そう…だね。蓮が知れば、悲しみや辛さが増すだけだ」

紫音は唇を噛み締める

「俺はあの事件で、色んな奴に色んな事を言われてきた。
だから、何で俺がこんな目にって
それでも引き取ってくれた親戚が良い人達で
だけど姉さんは…っ!」

両手を膝の上で握り締め、肩を震わす