「修二さん、サクラさん来てますよ!」

リーゼントに櫛を入れて髪をセットしていた俺たちの先輩バンド、Black mistのリーダー修二さんが、祥也が嬉しそうに楽屋に飛び込んで発した言葉に

「 やっときたか」

と満面の笑みを浮かべた。

ドラムの仁さんは

「えっ!
サクラちゃん来てるの!?

やっべぇ、俺今日は初っぱなからとばしちゃうよ!」

と手にしていたスティックをくるくる指で回す。

ベースのタカさんは、
「じゃあ、今日はあの曲やるんだろ?修二」

「そうだな。やっていいか?」

修二さんの言葉に二人が黙って頷いた。