夜の道を走り終えた車は、交流館の前に停まった。

「こんなにドライブデートしてるのに、まだ僕のこと好きになってくれないんですか?」

「まだっていうか…。なんでそんなに前向きなんですか」

写真の件が落ち着いたというものの、2人の関係性は相変わらず平行線を辿っていた。

「前向きにだってなりますよ。デートに誘ったら恵巳さんが来てくれるんですから。出会ったばかりは、基本的に断られてばかりでしたもん」

そう言われてみれば、最近拡樹のペースに流されていると感じていた恵巳。図星を付かれて何も返せなくなる。

「次はどこを走りましょうか。行きたいところ、考えててくださいね」

なんて、少年のような笑顔を見せると、手を振って車を走らせた。