「じいちゃんもばあちゃんも適当なこと言って。ただ手伝いに来てるってだけだよ。今回は整理する本が多いから3日来ただけだって」

「そうか?それなら、あっちの本棚の整理も頼もうかな。倉庫にある本と入れ替えてくれんか?」

倉庫に積んであるのは分厚くて重たそうな本ばかり。

「まったく、ばあちゃんは人使いが荒いんだから」

「次いつ来てくれるかわかんないでしょ。やる気のあるうちに使っとかないと」

脚立から下りると、倉庫から持ってきた本を丁寧に並べ始めるのだった。はじめに手に取ったのは、カバーが真っ赤な辞書のように分厚い本。この赤に、先日の封筒を思い起こした。

拡樹がホテル前で女性と歩く写真。その写真を目の当たりにしてから、仕事も手につかなくなっていた。