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ミーナとして生きると決めた日から、二カ月ほどが過ぎた。

時刻は十四時半。

混雑するランチタイムは終わろうとしており、レストラン・ルーブルの厨房で働く調理人たちはひと息つこうとしている。


その中で、ミントグリーンのエプロンドレス姿のミーナだけは、まだ休もうとしない。

調理台に向かって両手の指を組み合わせた彼女は、「青のりが欲しいです」と祈った。

すると《食材召喚!》という少女の声が脳内で響き、小料理屋で愛用していた、お徳用六十グラム六百四十二円の袋入り青のりが、エプロンのポケットからポンと飛び出した。


これは今日初めての食材召喚であるが、この二カ月ほどの間、ミーナは実に二百以上もの食材を出現させてきた。

一日千円までしか召喚できないので、毎日コツコツと、上限いっぱいまでこの能力を使っている。

味噌やソース、カレー粉に乳製品。野菜や果物、米、等々、この世界に新たな食材をもたらしているのだ。