──今日は、いつもよりひどいかもしれない。





「ほんとに目障りなんだけど」



「あぁ、アイツ?地味すぎて浮いてるくせによく教室に居れるよね」



「マジで視界から消えてほしいわ」


大きな声で笑う、クラスの派手系女子たち。



私は俯きながら、その時を耐える。



“アイツ”が誰のことを指すかなんて、考えなくてもわかった。




「……聞こえてるんでしょー?新橋さん?」



派手系女子たちのグループの中でもいちばん目立つ女子が、大きな声で私の名前を呼ぶ。



私は、突然名前を呼ばれて驚いたフリをして、恐る恐る女子たちの方を見た。




「うわ、アイツこっち向いたよ?」



「亜弥(あや)が呼んだからでしょ!ていうか、ウケるんですけど」



そう言って、また笑う女子たち。



正直言って、何がそんなにおもしろいのかわからない。



けど、私は何も言わずにただ黙っていることしかできないんだ。




「はーあ、ほんとに目障りだからどっか行ってよね」



ひとしきり笑ったあと、亜弥と呼ばれた女子が低い声で言い放つ。




私は、その言葉を合図に教室を飛び出した。