『女の子は砂糖とスパイスと素敵な何かでできている』

いつだったかそんなことを言った人が誰かいたっけ。でも今の私はそうとは思えない。少なくともあいつには当てはまらない。だって砂糖と素敵要素が見当たらない。あるのはスパイスだけに決まってる。私は階段を駆け登りながら頭の中でぐるぐると考えていた。

「心底呆れるんだけど。なんなの?」

思い出すだけで胸が締め付けられる。ねえ、塚田、なんで?私はあなたを好きになれて、付き合えて嬉しかったのに。あなたは私のことなんて好きじゃなかった?気づいたら私は屋上まで辿り着いていた。何かの糸が切れてしまったようにぱたぱたと、足元にちいさな水たまりができるのをただ黙って見ていた。