「大賀君と付き合った……?!」


翌朝、栞ちゃんに伝えると、喜びより驚きを目いっぱい顔に出して「おめでと……」と言ったまま、しばらく絶句していた。


「え?でも葉由、わかってるの?彼女っていっても、あんなの彼女でも何でもないじゃん。好きになってももらえない、ただの”都合のいい女”だと思う」


都合のいい女……。たしかにそれって、しっくりくる。


大賀君の彼女というのが、どういうものなのか。
全くピンと来ていなかったけど……そういう働きをすればいいのか。


都合にいい女でもなんでもいい。


ただ、私は、きっと。
「なんでもいいから大賀君と関わりたかったんだ」


「んー……そっか」


栞ちゃんは不服そうに視線を落としていたけど、しばらくして私の背中を強く叩いた。


「なら、腹くくって楽しもう!」


パッと咲く笑顔に、ゆっくりと頷いた。



その日の放課後、談笑を楽しむ生徒が半数残る教室で。


リュックに教科書を詰める私を見ながら、大賀君は目を細めて言った。