───はあ、と今日何回目かのため息をつく


いつもなら和やかな雰囲気のはずのランチタイムなのだけれど。


裏庭のベンチ、隣に座る悠莉に心配そうな瞳を向けられている私。



「もー、未桜。ため息つくと幸せ逃げるよ~?」


「.....うん」


「そんなションボリした顔、桜雅くん悲しむよ....って、その彼が原因なんだけどね」



靴箱で、律くんと話をしたその日以来───律くんは学校に来ていない


家庭の事情、と朝のHRで担任の報告を受けること、今日で4日目。



「今週1日も来てないもんなぁ。家庭の用事、そんなに忙しいのかな」


「.....うん」



声が沈んでいることが、自分でも分かる。


ずっと、朝から胸がざわざわする。


変な違和感が、奥につっかかっている感覚。



『誰かから視線感じるとか、待ち伏せされてる.....とか、そーゆーのあったらぜったい俺に言って』


律くんの言葉に驚いたのは、私が桜蕾の一員だという自覚に欠けていたから。