どんなクラスにもイジメやすい相手はいる。


根暗だったり、大人しすぎたり、友達がいなかったり。


そういう相手を見つけるとなんだかほっとけなくなってしまうのが、あたしの性格だった。


「ねぇリカコ、ちゃんとシャンプーっしてる?」


教室の真ん中、一番後ろがリカコの席だった。


リカコはいつもうつむいていて、長い前髪で自分の顔を隠していた。


髪の奥から見える顔はニキビまみれで、覇気も感じさせない。


リカコ本人もそれを気にして髪の毛を伸ばしているようだけれど、それが原因で余計に暗く見えた。


「し、してるよ……」


まだなにもしていないのに、リカコが震えた声でそう言った。


そんなにあたしのことが怖い?


内心そう聞いて笑う。


「でも髪の毛汚いよ?」


そう言ったのはスズだった。