ケータイ小説 野いちご

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雨に溺れる

side.麦雨ほまち

 学校の帰り道。たまには別の道を通って、遠回りしてみよう。……なんて考えたのが間違いだった。

 季節柄、突然の土砂降りに見舞われることを頭に入れて置くべきところを、傘を持たずに登校した。

 私、麦雨ほまちが走ってるのは、洋風でお洒落な景観の商店街。

 避けることのできない大きな水溜りの上も通る。おかげで茶色のローファーの中も水浸し。

 そうでなくとも、こんな土砂降りを傘もさしていないもの。セーラー服は水を含み、重くなってる。鞄を頭の上に乗せた意味は……ない。

 学校を出てすぐに降り出して、そこからずっと走りっぱなし。ここまで校庭三周分は走ってる。

 さすがに疲れてきたから雨宿りがしたい。でもこんなびしょびしょな服では、お店に入れない。

 仕方なく適当に目についた店の軒下に避難した。

 私の胸辺りまで伸びた黒髪から、雫が滴り落ちる。

 雨……止むかしら。自宅まではまだ遠くて、親に傘を持ってきてもらうのは忍びない。

 霙斗はまだ学校にいないかしら。もしくゲームセンターをほっつき歩いていたり……。

 霙斗は同じクラスで、私の彼氏。

 普段は素っ気なくて、ゲームが好きで、私のことはほったらかし。

 でも肝心な時は頼りになる。実は優しい。だから好きなの。

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