「どうしたの? 大丈夫?」
昼休みの練習中。
さっきの言葉が尾を引いて上の空で練習していたら、天音くんに気付かれてしまった。
「うん、大丈夫」
「練習中は集中しないと危ないよ」
「わかった」
そう言ったそばから。
「あっ……」
パスされたボールを指先ではじいてしまい、顔をしかめる。
「ごめんっ、今の強かったよな? 大丈夫?」
慌てて駆け寄ってくる天音くん。
「ううん。私がぼんやりしてたから……うっ……」
実際、他のこと考えてたわけだし。自業自得だ。
それにしても痛いなぁ。
「保健室で湿布もらってこよう」
「わ、私ひとりで行けるから大丈夫だよ。天音くんはみんなと一緒に練習してて」
「俺は葵ちゃんに教えるためにいるんだから気にしないで」
私に教えるため……?
どういう意味かと思いながらも、気にしないでと言ってくれた彼に甘え、亜子にも伝えてから保健室へ向かった。