「来月には正式に婚約発表をして国民に御披露目をして半年後には婚礼をする。いいか」

「はい。そのように心積もりいたします」

早くない?と思ったけれど、側近にも急かされているし、そもそも本来ならば番をこの国に迎え入れた時点ですぐに婚礼になるのが習わしだったのだから、決して早くはないのだろう。

ただ、問題は2つ。

私の体調の問題で私はまだ地上に戻ることができない。
だから、問題の1つは地上に残してきた私の荷物や友人関係や社会的なこと。友人への連絡、会社の退職手続きやアパートの解約、引っ越し荷物や銀行口座はどうしたらいいんだろう。

もう1つは私の両親。
私の両親は私が大学を卒業して自立すると二人で世界中を旅すると言って家を売り旅立ってしまった。

ふらふらと放浪生活をしていて、今はどこの国にいるのかわからないという自由人なのだ。

たまに旅先からハガキが届き元気にしていると確認がとれるのだけど、携帯電話の通じない国にいることが多い彼らとはこちらから連絡する術がない。

おまけに今は私も携帯電話の電波が届かないところにいるし。電波が届かないだけじゃなくてこの国の存在が知られてないのだからもうお手上げである。

このまま引っ越してしまうと、彼らと連絡がつかなくなってしまうという不安があるのだ。
一人娘の結婚くらいは報告したいのだが。どこにいるのだ、両親よ。