**


「今度こそ、説明してくださいっ!」

そう、きちんと、全て、しっかり、包み隠さず。
私に理解できるように!



私は今クリフォード様の私室という大きなお部屋でクリフォード様を前に腰に手を当てて仁王立ちしている。

失礼を承知で室内にいた侍従とかメイドとか、護衛に至るまで全部追い出してやった。

今はこの部屋に二人きり。

もう人目を気にすることはない。だから、思う存分彼のことを責められるのだ。

「楓、私の番。そんなに怒らないで」

クリフォード様が近付こうとしたから、両手で”とまれ”のゼスチャーをして強く拒絶の意思を示した。

「話が終わるまで近付かないでください」

クリフォード様は渋々といった感じでソファーに座った。

「何もかも話すから、楓も座るといい」

「本当ですね」
疑ってますと言わんばかりの視線を向けると
「ああ」と寂し気に頷いた彼の表情になぜかチクリと胸が痛んだ。

向かいのソファーに座り、改めて「すべて説明してください」とお願いをした。

「まず、何から話そうか」

そう問われると私にもどこから聞けばいいのか、首をかしげてしまう。

「とりあえず、ここはどこで今何時か聞いていいですか?私が何時間寝ていたのかも知りたいので。
それと、クリフォード様が何者かということも」

「・・・そうだな、それだな」

僅かに私から視線を逸らしたクリフォード様に何かを感じる。

わざとらしく咳払いをすれば、気まずさを払うように右の口角を軽く持ち上げるようにしてクリフォード様は少し笑顔を見せた。