「宮中からのお知らせでございます」

京中の貴族の邸に、女官募集の知らせが配られた。

藤盛家も貴族社会から忘れ去られたわけではなかったらしい。
無事通知は届いた。

「ご苦労さまでございます」

文を受け取った小鞠が、邸の中に走る。

「姫さま! 宮中からのお知らせでございますよ」

裁縫に勤しんでいた花菜も、小鞠の声を聞いて走ってきた。

「ついに来たのね」
「はい!」

小鞠が手にした文を間に置き、緊張の面持ちで見つめ合ったあとふたりは大きく頷いた。

条件は?
準備するものはあるのだろうか?

それによっては募集に応募することができないかもしれない。

ドキドキしながら大きく息を吐いた花菜は、ゆっくりと通知の文を開く。