心臓がドクドクとうるさくなっている。
あの男の子がじっと見ている。時間が止まって二人だけの世界にいるみたいだ。
ホームルームが始まることに気がついて、私は素早く目をそらした。

普通に人に見られるのは、とてもいやだけど、
あの男の子に見られるのは、いやじゃなかった。
とても不思議な感じがした。

私は集中をそらし、先生の話に集中した。

一時間目は英語だ。私が一番苦手な教科だ。
そんなことを考えながら、頭に浮かんでいたのは、あの男の子の顔だった。

隣を見ると、あの男の子の周りには大勢の生徒が集まっていた。人気もあるんだな。と少し悲しい気持ちになった。