入学式は終わり、今は、短時間の授業の時間だ。静まり返る廊下を歩き、たどり着いたのは、美術室だった。
昔から絵が好きな方でよく描いていた。懐かしい感じがした。絵の具の匂いが鼻をくすぐる。

そんな時チャイムと同時にざわざわと生徒の笑い声や話声が聞こえてきた。私は慌てて廊下に出ようとしたが、廊下からは生徒がきていた。
多分私がいるべきクラスだ。

ガラガラとドアが開いた。一人男の子が入ってきた。サラサラの茶色がかった髪に整った顔に私は一瞬見とれてしまった。男の子は私を見ると「もしかして井上リンカさん?」と聞いてきた。

心臓がドキッとした。「はい」と言おうとしたが、廊下からはまだ誰も来ていない。私は急いで美術室を出て、屋上へと走り抜けた。その時私の顔はとてもあつかった。