「なあ、今日の試合に持って行くつもりで買ったんだよ。ホントに知らない?」
わざわざ2階まで上がってきて、ドアを開けた弟。

「知らない」

今は言えない。
こっそりと、カバンを布団の中に引き入れた。

「本当だな?」
「うん」

諦めて出て行く康生。

ゴメンね。
昨日ちょうどいいところにあったから、バイトに持って行ってしまったのよ。
でも、そんなことは言えない。
こっそり洗濯して、父さんか母さんの仕業にしてしまおう。

すっかり目が覚めた私はやっとベットから起き出した。