昔々、あるところにとても素敵で美しく残酷な国がありました。その国は元々は平和な国でしたが、災厄が起こったことで全てが変わってしまったのでした。その国の名は、アリュエクル。災厄の正体は謎のまま、葬られてしまいました。

パタンッ。本を閉じて少女は表紙を撫でました。
「アリュエクル、忘れ去られた国。私と同じだね。」
少女はそう呟きました。そして、窓の外を眺めました。外は嵐のような雨が降っていました。不快な嫌な予感がするような風が窓を叩きつけていました。