第3章


決して追いつけはしない風のように




窪田 トシヤ
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「プ・・プール掃除?」


荒木、チサト、僕。


すっかり3人でのお弁当&昼寝 at屋上・・

の生活が定着し始めた6月のある日、


ポツリと荒木がこのワードを漏らした。



「頼まれた。
今日からしばらく業後にプール行く。」


「なんで荒木が?そういうのって水泳部がやるんじゃないの?」


「うちの学校、水泳部が無いらしい。」



そうだったんだ・・。


僕は最初からパソコン部に入ると決めていたので、運動部の情報が疎かった。


荒木とチサトは帰宅部なので、

部活の話題がこの時間にあがる事なんて1度も無かったし・・それにしても・・


「断らなかったの?」


「断る理由無かったから。」



荒木は見た目坊主のでかくてゴツい、見ようによっては“番長”のような男なのに・・


“超”がつくほどのお人好しだった。

どうやら頼まれたら断れない性格らしい。


よく先生の後ろについて何かの荷物を運んでいたり、

掃除がめんどくさい他のクラスメイトの代わりに便器を掃除したり・・

というような光景をよく目にしていた。